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2025年2月28日 日本市場と米国市場の振り返りと分析

米国市場の振り返り

主要指数の動き

28日(金)の米国株式市場は、朝方の不安定な値動きを乗り越えて主要3指数が揃って大幅反発しました。ダウ平均は前日比+601.41ドル(+1.39%)高の43,840.91ドル、S&P500指数は+1.59%高の5,954.50ポイント、ナスダック総合指数は+1.63%高の18,847.28ポイントで取引を終了しています。序盤はハイテク株が弱含みでまちまちのスタートとなりましたが、米大統領とウクライナ大統領の会談が物別れに終わったとの報道で一時下落に転じました。しかし同日発表の1月コアPCE価格指数が予想通りインフレ鈍化を示したことから、市場には利上げ終了・利下げ期待が広がりました。加えて月末要因もあり次第に買い戻しが優勢となり、終盤にかけて上昇幅を拡大して引けています。米10年債利回りもこの日4.208%へ低下(前日比-0.05ppt)しており、金利低下を追い風にハイテク含む主力株全般に買いが入りました。VIX指数(恐怖指数)は19.63と前日から低下し、投資家心理もいくぶん落ち着きを取り戻しています。

セクターごとのパフォーマンス

セクター別では、自動車・自動車部品セクターや半導体・半導体製造装置セクターが顕著に上昇しました。インフレ指標の落ち着きから景気後退懸念が和らぎ、景気敏感な自動車関連に買戻しが入ったほか、前日に大きく売られた半導体株もこの日は反発しています。また米長期金利低下を受けハイテク(IT)株全般も買い直されました。一方で不動産管理・開発セクターは下落しており、市場金利の低下にもかかわらず商業不動産市況への慎重姿勢が続いています。なお、原油相場が1バレル69ドル台まで下落したことでエネルギー株の上値も重く、公益事業株などディフェンシブも相対的に劣後しました。

個別株トピックス

米個別企業では決算発表を受けた銘柄に明暗が分かれました。来週上昇が期待できる好材料銘柄としては、例えば以下が挙げられます:

  • モンスタービバレッジ (MNST) – エナジードリンク大手のモンスターは第4四半期決算で売上高が市場予想を上回り、株価は上昇しました。堅調な飲料需要を背景にした増収で、今後の成長期待も高まりつつあります。
  • AES (AES) – 米電力会社AESは第4四半期調整後EPSが予想超えとなり、併せて2025年通期見通しも市場予想を上回る強気の内容を発表。これを受け株価は買われています。安定的な公益事業ながら成長戦略が評価され、来週も続伸が見込まれます。

一方、好決算でも売られた銘柄も存在しました。例えばソフトウェア大手の**オートデスク (ADSK)は四半期決算が予想を上回り、9%の人員削減を含むリストラ計画も発表しましたが、将来の持続成長性への懸念が根強く、発表後株価は下落しました。PCメーカー大手のHP (HP)**も売上増収を確保したものの、中国向け関税の影響を織り込んだ今後の業績見通しが市場予想を下回り、失望売りで株価は下落しています(同業のデル科技もAIサーバー好調ながら収益性懸念で下落)。このように、ポジティブな材料がある銘柄は素直に買われやすい一方、将来不透明感のある銘柄には市場は厳しく反応しており、来週以降も個別物色の明暗を分ける展開が続きそうです。

短期トレンドのまとめ

短期的には米国市場は下落トレンドから反発の兆候を見せていますが、本格的な上昇転換を確認するためには、各指数とも移動平均線を明確に超える必要があります。特にナスダックは引き続き上値が重く、戻り売りリスクにも注意が必要です。

来週は重要な経済指標(ISM製造業指数、雇用統計等)が発表されるため、これらの結果次第ではテクニカル面のサポートやレジスタンス突破を試す動きが期待されます。短期的には方向感が出づらく、個別材料株中心の相場が継続すると予想されます。

日本市場の振り返り

主要指数の動き

2月最終取引日となった28日の東京株式市場はほぼ全面安となりました。日経平均株価は前日比-1,100.67円(-2.88%)の37,155.50円と昨年9月以来の安値水準に急落し、一時下げ幅は1,100円を超え今年最大の下げ幅を記録しました。今年に入って続いていたボックス圏を下放れし、長期停滞していた相場が一気に下抜けた形です。これに対し、東証株価指数(TOPIX)は終値2,682.09ポイントで前日比-54.16ポイント(-1.98%)の下落にとどまりました。日経平均の下げがTOPIXを上回ったのは、日経平均構成銘柄の中でもハイテク大型株の下落が重しとなったためです。実際、前日の米国市場で画像処理半導体大手エヌビディア株が急落したことを受け、東京市場でも半導体関連などハイテク株が軒並み売られました。加えて、トランプ米大統領が対カナダ・メキシコや中国、欧州への関税強化を表明したことで景気先行き不安が広がり、輸出株中心に売りが膨らんだことも日経平均の下げを大きくしています。一方、新興市場指数である東証グロース市場(旧マザーズ指数)は653.77ポイントと前日比-14.79ポイント(-2.21%)の下落となり、日経平均ほどではないものの景気敏感株中心に幅広く売り込まれました。

セクターごとのパフォーマンス

業種別では値下がりが30業種超にのぼり、特に輸出関連やハイテク系の下げが目立ちました。中でも下落率が大きかった業種は次の通りです:

  • 非鉄金属:前日比**-4.00%** – 資源株の一角ですが、中国景気減速懸念や商品市況の影響で売られました。
  • 機械:前日比**-3.53%** – 工作機械など輸出関連が多く含まれ、世界景気不安から売りが先行。
  • 電気機器:前日比**-3.28%** – 半導体製造装置や電子部品などハイテク株安が直撃しました。
  • (参考:輸送用機器も-2.78%、サービス業も-2.73%と大きく下落)

一方、上昇した業種はわずか4業種のみでしたが、防御的な内需セクターが意外に底堅さを発揮しました:

  • 鉱業:前日比**+0.43%** – 資源価格の下支えや配当利回りの高さから買われました。
  • 電力・ガス:前日比**+0.29%** – 景気に左右されにくい公益株として資金流入。
  • 倉庫・運輸関連:前日比**+0.18%** – 円高基調ながら業績安定の見通しで堅調。
  • 保険:前日比**+0.05%** – 金利上昇局面で収益改善期待が意識され、小幅ながらプラスを維持。

個別株トピックス

ニュースや材料が出た銘柄の中で、来週以降も注目されそうな上昇株をピックアップします:

  • 大平洋金属 (5541) – 25年3月期の年間配当予想を当初の無配から期末一括135円に修正し、3期ぶりに復配すると発表。配当方針も連結配当性向30%目処からDOE(株主資本配当率)4%目処に変更し株主還元強化を打ち出したことで評価され、株価はストップ高の**+25.9%**と急騰しました。配当利回りの魅力から来週も物色が続く可能性があります。
  • 片倉工業 (3001) – 前日27日付で、投資家の重田光時氏率いるASO Groupが同社株を買い増ししていたことが大量保有報告書で判明。保有比率は11.09%→11.21%に上昇し、「純投資だが状況に応じて重要提案行為の可能性あり」との記載もあったため思惑買いを誘発。買収や経営刷新期待から株価は**+8.9%**と急伸しており、今後の株主提案の行方次第では来週以降も注目されそうです。
  • 北陸電力 (9505) – 27日の取引後、今期(25年3月期)の連結業績予想を上方修正。売上高を8550億円→8600億円、純利益を450億円→650億円へ増額し、期末配当も17.5円→20円に増配すると発表しました。電力販売量の増加や燃料費減少などが寄与。これが好感され28日の株価は**+5.6%**上昇。業績改善と増配で見直し買いが入りやすく、来週も底堅い展開が期待されます。
  • 愛知製鋼 (5482) – 26日に中期経営計画を更新し、今後3年間で通常配当年間30~40億円+追加株主還元400億円規模を実施する方針を表明。翌27日にはその方針に沿って発行株式数3.3%にあたる65万株・約43.94億円上限の自社株買いを即日実施し、28日朝に上限いっぱい買付を完了。株主還元強化策の具体化を受けて28日株価は**+5.0%**と急伸しました。大規模な自社株消却・還元への期待から、引き続き買い安心感のある銘柄といえます。

なおこの他、**TAKARA & COMPANY (7921)の上方修正やウイン・パートナーズ(3183)**の増配・自社株買い発表なども材料視されており、個別に好材料の出た銘柄には来週以降も物色が向かう展開が予想されます。

短期テクニカル分析

日経平均のテクニカル面を分析すると、短期的な行き過ぎ感と下落トレンド入りの兆候が交錯しています。28日の急落で日経平均はローソク足が大陰線となり、節目の37,000円を一時割り込む場面がありました。株価上方では25日移動平均線が急角度で下降し75日線とデッドクロスを形成しており、13週線・26週線といった中期トレンド指標も下向きに転じています。これにより下落基調が長引く可能性に注意が必要です。実際、テクニカル的には昨年8月の急落時に下支えとなった24か月移動平均線(約35,770円)付近まで明確な下値メドが見当たらないとの指摘もあり、今後は日経平均36,000円割れも視野に入る状況です。また2月中旬以降の下げ局面で押し目買いによる信用買い残が増加しており、需給面で上値の重しとなる恐れも指摘されています。

しかしながら、一方で短期指標は売られ過ぎシグナルを点灯し始めています。28日時点で日経平均は25日線との乖離率が終値ベースで約-4.65%まで拡大し、一般的に5%前後の乖離は短期的な割安感を意識されやすい水準です。実際、各種テクニカル指標を見ると「さすがに下げ過ぎ」との印象が強く、急落で日経平均の予想PERも低下したことでバリュエーション面からも買い余地が出てきています。RSI(相対力指数)なども30前後まで低下しており、短期的な自律反発が起きても不思議ではありません。28日の東証プライム市場売買高も増加基調にあり、これは投げ売りが一巡すれば押し目買いエネルギーに転化し得ることを示唆します。

以上を踏まえると、来週の東京株式市場はリバウンド狙いの買いと戻り待ちの売りが交錯する展開が予想されます。焦点となるのは外部環境で、特に米国の経済指標やトランプ政権の通商政策動向です。週明け以降、ISM製造業景況指数や米雇用統計など重要指標の発表が控えており、これらが強めの結果となって米景気への不安感が後退すれば米株高・円安を通じて日本株のリバウンドにつながる可能性があります。実際、識者からは「日経平均はテクニカル的に売られ過ぎで、外部環境次第では自律反発が期待できる」との見方も出ています。一方で、米指標が失望を誘ったり関税強化への懸念が再燃したりすれば、目先もう一段の調整も否定できません。短期トレンドは下向きになったばかりであり、反転の確証を得るには日経平均が再び25日線(現在約38,000円台)を上回るなど明確な戻り局面を確認する必要があります。来週は、海外情勢とテクニカル指標の両睨みで戻り売りと押し目買いの攻防が展開されるでしょう。当面は慎重姿勢を保ちつつも、売られ過ぎ銘柄への拾い場到来にも備える局面と言えそうです。

【参考資料】日本経済新聞社, ロイター, 株探ニュース等などより作成しました。

ABOUT ME
いけだい
現在会社員として働きながら、40歳を超えて投資を通じて本格的に資産形成を進めています。このブログでは、**「これから投資を始める人」や「今後の資産形成に漠然と不安を感じている人」**に向けて、実体験を交えた情報を発信しています。
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