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2.25 5大商社を巡る短期投資ストーリー

2月26日マーケット

5大商社を巡る短期投資ストーリー:最新ニュースと決算から探るチャンス

序章:市場を驚かせた“バフェット砲”

2月下旬の東京市場――普段は穏やかな朝が、一通の手紙で一変しました。伊藤忠商事、三菱商事、三井物産、住友商事、丸紅――日本の5大総合商社の株価が軒並み急騰し、投資家たちが色めき立ちます。その理由は、かの有名なウォーレン・バフェット氏(バークシャー・ハサウェイ会長)が最新の株主への手紙で日本の商社株への更なる投資意欲を示したことでした。実は昨年後半から5大商社株は調整局面にあり、昨年7月の高値から約16%下落した水準に停滞していました。高配当利回りも手伝い、「放置されていた株価に見直しの好材料が出た」(市場関係者)との声が聞かれたほどです。そして訪れたバフェット氏からの“援護射撃”は、市場にどんな物語をもたらしたのでしょうか。ここからは、最新ニュースや決算情報をひもときながら、5大商社の短期投資チャンスを探るストーリーを展開します。

1. 直近ニュースの整理:追い風と向かい風

過去1週間のハイライトは何と言っても前述のバフェット氏の手紙です。彼は「時間の経過とともに、バークシャーの5社に対する所有比率はいくらか高まるだろう」と述べ、各社とこれまで上限10%としてきた持ち株比率を適度に緩和することで合意したことも明かしました。このニュースに市場は即座に反応。東京市場が休場明けとなった2月25日(火)朝、5社の株価はそろって急伸し、三菱商事は一時前日比8%高、他の4社も4~7%高と東証プライム値上がり率上位を独占しました。日経平均が▲1%超下落する中での逆行高は、「バフェット効果」の絶大さを改めて印象付けました。

直近1ヶ月の重要な動向としては、各社の四半期決算発表があります(詳細は次節)。また外部環境では、昨年まで業績を後押ししていた資源高や円安の追い風が足元ではやや落ち着きを見せている点に注目です。例えば、2022~23年に高騰したエネルギー・金属価格はピークアウトし、為替も超円安水準からやや円高方向に振れてきました。このため「資源ビジネス頼み」の色彩が強い商社にとって追い風は弱まりつつありますが、その一方で各社は非資源分野の強化にも動き始めており、市場は今後の戦略に注目しています。つまり、直近のニュースは吉報(バフェット氏の買い増し示唆)と課題(資源市況の安定化)の両方を孕んでおり、短期的な株価にも影響を与えています。

2. 決算情報の分析:明暗を分けた5社の業績

2024年12月から2025年2月にかけて、5大商社は2025年3月期第3四半期(2024年4~12月)の決算を発表しました。業績は5社で明暗が分かれています。まず好調組を見ると、伊藤忠商事は4-12月期の連結純利益が前年同期比**+10.6%増の6,764億円と順調に伸びました。三菱商事も同様に+18.8%増の8,274億円と大幅増益で着地し、通期計画(9,500億円)に対する進捗率は87.1%**に達しています。これは過去5年平均の進捗を上回るハイペースで、前年までの資源価格高騰の恩恵や事業ポートフォリオの貢献が表れた形です。

一方で慎重な動きも見られました。伊藤忠と三菱商事はいずれも通期業績予想は据え置きとしており、特に三菱商事は「計画未修正=4Q(1-3月期)は前年から大幅減益ペース」となる計算です。実際、三菱商事の直近10-12月期(3Q単独)は前年同期比▲9.2%の減益となっており、前年度4Qにあった一時的利益の反動減などを織り込んでいるようです。伊藤忠商事も進捗率は76.9%と平年より低めで、保守的な姿勢がうかがえます。

次にやや苦戦組を見ると、三井物産は4-12月期純利益が**▲10.2%減の6,521億円**と減益でした。エネルギー・資源価格の調整や前期の大型売却益の反動が影響した模様です。ただ進捗率は70.9%(通期予想9,200億円に対し)と5年平均並みで、計画自体も前年比▲15%減益の保守的なものでした。言い換えれば「想定どおりの減益」であり、通期予想も据え置かれています。

最後にサプライズ組として注目すべきは、住友商事丸紅です。住友商事は4-12月期純利益が**+3.1%増の4,164億円と堅調に推移し、ここにきて通期純利益見通しを5,300億円→5,600億円へ約6%上方修正しました。最終利益が前期比+44.9%増という大幅増益見通しとなり、市場を良い意味で驚かせました。さらに丸紅も4-12月期純利益+14.5%増の4,251億円と大幅増益を確保し、通期予想を4,800億円→5,000億円へ約4%上方修正しています。丸紅に至っては年間配当予想も90円→95円に増額修正**し、前期比+10円の増配を打ち出しました。これは株主還元の強化策として短期的な買い材料となり得ます。

こうした決算動向から、足元の事業環境のヒントも見えてきます。資源エネルギー分野の比重が高い三井物産が減益だった一方、非資源分野や総合力で補った伊藤忠や三菱商事は増益を維持しました。住友商事と丸紅の上方修正は、金属資源価格の底堅さや食料・生活関連ビジネスの好調など、それぞれ得意分野が奏功した可能性があります。つまり5社それぞれに好調分野・不調分野が混在しており、「総合商社」という業態ゆえのポートフォリオの広さが業績の明暗を分けたとも言えます。

3. テクニカル分析:チャートが語るもの

数字の次はチャート(株価推移)に目を向けてみましょう。5大商社株はいずれも過去1年間で大きく上昇した局面と調整局面を経験しています。2023年前半はバフェット氏の持株比率引き上げ報道(いわゆる「バフェット効果」)も手伝い株価は急伸しましたが、夏以降は一服し、前述のとおり高値から16%前後下落して2024年末~2025年初めにかけて調整しました。しかし2月末の急騰で主要銘柄はいずれも直近高値を再び射程圏内に捉える展開となっています。移動平均線で見ると、多くの商社株がこの急騰により短期・中期線を一気に上抜き、チャート上は再び上昇トレンドを取り戻しつつあります。

テクニカル指標の代表格であるRSI(相対力指数)にも注目しましょう。RSIは一般に70を超えると「買われすぎ」、30未満で「売られすぎ」と言われます。今回の急騰前、商社株のRSIは調整局面の影響で比較的低め(概ね50前後かそれ以下)で推移していたとみられ、短期的な売られすぎ感も指摘されていました。急騰後のRSIは各銘柄とも急上昇し、一部は70近辺に達して短期的な過熱感が出ている可能性があります。つまり、テクニカル的には「下がりすぎていたものが一気に適正水準まで戻った」状態とも解釈できます。今後、この勢いが続けば一時的に買われすぎゾーンに入るリスクもあり、逆に言えば押し目(調整)が入りやすいタイミングでもあることを示唆しています。

また、機関投資家の動向もテクニカルに影響を与える重要な要因です。今回のバフェット氏の発言はまさにその典型例ですが、他にも年金基金や投信による大口の売買動向、さらには自社株買いの有無も需給面で効いてきます。5社はいずれも過去に積極的な自己株式取得を行っており、市場の下支え要因となってきました。バフェット氏は手紙の中で日本の商社について「配当を適時増やし、自社株買いにも慎重で、経営陣の報酬も米国の同業に比べ控えめ」と評価しています。こうした点は長期投資家に安心感を与え、海外機関投資家からの継続的な買いにつながりやすいでしょう。一方で、短期的には利益確定売りも出やすく、大口の売買タイミングが株価を揺さぶる可能性もあります。テクニカル面では出来高急増や移動平均乖離率などもチェックしつつ、機関投資家の売買ニュースにはアンテナを張っておく必要があります。

4. 短期投資の可能性:どの商社に軍配?

以上のニュース・業績・テクニカルを踏まえ、5大商社の中から短期勝負に有望そうな銘柄を探してみましょう。結論から言えば、住友商事と丸紅が直近では他より一歩リードしている印象です。理由はシンプルで、両社とも業績上方修正を発表しており、企業自ら「業績好調」と太鼓判を押した形だからです。住友商事は最終益見通し+6%上方修正、丸紅に至っては+4%上方修正に加え増配も発表しました。このようなポジティブ材料は短期的な株価押上げ要因となりやすく、実際に発表直後から株価も堅調です。特に丸紅は配当利回りも4%近くまで上昇し(増配後、予想年間配当95円/株、株価2,400円台)、高配当銘柄としての魅力から押し目買いが入りやすいでしょう。

では他の3社はどうでしょうか。三菱商事は業績好調ながら通期据え置きという慎重さゆえ、一段の上振れ期待は薄いものの、バフェット氏の「お気に入り」銘柄として注目度はNo.1です。実際、急騰局面では5社中トップの上昇率を記録するなど人気の高さがうかがえます。豊富な資源ビジネスに加え、ローソンなど生活分野まで多角展開する安定感も魅力で、短期というより中期志向の投資家からの押し目買いが期待できそうです。伊藤忠商事は非資源分野に強みを持ち安定成長が見込めるものの、株価指標面では5社で最も割高(PER約10倍台後半)かつ配当利回りも3%強とやや見劣りします。しかし裏を返せば、それだけ市場から評価され信頼されているということ。短期的には急騰後の調整も考えられますが、中長期では引き続き有力な存在でしょう。三井物産は現状やや不振とはいえ、エネルギー価格や景気動向次第ではサプライズ反発の可能性があります。大きく売り込まれた局面ではむしろ割安株の逆張り妙味が出る銘柄であり、「人の行く裏に道あり」という相場格言を実践する上級者が狙う展開も考えられます。

短期投資戦略としては、まず今回急騰した局面で飛び乗るのではなく、押し目を待ってエントリーする戦術が定石でしょう。例えば丸紅や住友商事であれば、急騰分の半値押し前後の水準で出来高が減少し始めたタイミングは一つの狙い目です。エントリー後は直近高値圏を利確目安として設定し、欲張りすぎない利食いを心掛けると良いでしょう。逆に、全体相場の地合い悪化や材料出尽くし感が出た場合は早めの撤退も肝要です。幸い5社はいずれも流動性が高く売買しやすい銘柄ですので、短期トレードの練習台としても適しています。一方で「高配当だし下がっても持ち続ければいいや」という気持ちで臨むと短期勝負の判断が鈍ることもあります。あくまで短期勝負と割り切り、シナリオに沿った機動的な売買を心掛けましょう。

なお、専門家の中には「商社株は既に割安是正が進んでおり、これ以上の上昇には新たな成長ストーリーが必要」との指摘もあります。確かに、バフェット効果で急騰した2023年以降、各社ともPBR(株価純資産倍率)は1倍前後まで上昇し、かつての「解散価値割れの放置株」状態からは脱しています。短期的な上昇余地は残されていても、過度な期待は禁物です。良い材料ばかりでなくリスク要因(世界景気の減速、資源価格の急落、為替の急変動など)にも目配りし、最終的な投資判断は読者ご自身に委ねたいと思います。

5. おわりに:データが語る未来へのヒント

最後に、視覚的な情報を通じて今回のストーリーを振り返りましょう。本来であればここに株価推移チャートや機関投資家の売買動向グラフを掲載したいところですが、文章でイメージしてみてください。5大商社の株価チャートは、この1年でジェットコースターのように上下しつつも、右肩上がりの軌跡を描いてきました。高値圏から調整し、再び上昇に転じる様子は、まるで大海原を航海する帆船が風向きの変化に合わせ帆を張り直したかのようです。各社の業績推移を棒グラフにすれば、資源高で利益急増→一服→再成長という山谷が見て取れるでしょう。さらに機関投資家の動きを折れ線グラフで示せば、バフェット氏の参入以降に海外マネーが流入し、出来高が膨らんだタイミングが浮かび上がるはずです。

データは嘘をつきませんが、解釈の仕方で語る物語が変わります。今回のストーリーでは、「バフェット氏という長期投資家のお墨付き」「業績発表という事実」「チャートが示す心理」の3つの視点から商社株の短期妙味を探りました。投資の世界では、「一枚のチャートは百のニュースに勝る」ことも、「一つの決算は百の憶測に勝る」こともあります。ファンダメンタルズとテクニカル、そしてニュースの潮流を組み合わせ、自分なりの投資ストーリーを描いてみてください。5大商社という大海原には、短期投資のチャンスという名の宝島がまだ潜んでいるかもしれません。最後に舵を取るのはあなた自身です。この物語が、皆さんの航海の一助となれば幸いです。

ABOUT ME
いけだい
現在会社員として働きながら、40歳を超えて投資を通じて本格的に資産形成を進めています。このブログでは、**「これから投資を始める人」や「今後の資産形成に漠然と不安を感じている人」**に向けて、実体験を交えた情報を発信しています。
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