投資ニュース

2025年2月 ウォーレン・バフェットが5大商社株について言及

ウォーレン・バフェットの最新投資動向(直近3か月 vs 1年前)

ウォーレン・バフェット率いるバークシャー・ハサウェイの**直近3か月間(主に2024年末~2025年初)**の投資動向を、1年前(2023年末~2024年初)の動向と比較し分析します。特に日本市場への投資に焦点を当て、主要投資先の変化、新規の投資・売却動向、バークシャーのポートフォリオにおける日本株の位置づけ、そして企業との提携や発言による市場反応について詳述します。データに基づく分析結果を図表や箇条書きで示し、視覚的に理解しやすい形式でまとめます。

主要な投資先(企業・セクター)の変化

  • ポートフォリオの集中と変化:バークシャー・ハサウェイの株式ポートフォリオは依然として少数の大型株に集中していますが、その内訳にこの1年で変化が見られます。最大保有銘柄のApple(米国)が占める割合は、1年前はポートフォリオの40%以上でしたが、直近では**約28%**と低下しました。これはApple株の一部売却と他の投資比率上昇によるものです。一方で、American Express(金融)やCoca-Cola(消費財)などの伝統的な「バフェット銘柄」は依然上位を占めており、上位5銘柄でポートフォリオの約3/4を占めています。
  • セクター別の動向:バークシャーは近年ハイテク分野にも踏み込んでいましたが(Appleがその代表例)、直近では金融セクターや消費財セクターへの比重が相対的に高まっています。例えば、2024年末時点でポートフォリオ第2位のAmerican Expressは約17%、第3位のBank of Americaは約11%を占め、依然として金融株への厚い投資を示しています。消費財ではCoca-Colaが約9%と上位に位置し、安定した配当とブランド力を持つ企業を引き続き重視しています。またエネルギー分野では、Chevronなどの石油株が約6%を占めていますが、前年と比べ一部持ち分を削減しており、石油株の比率はやや低下傾向です(※Chevronは2022年末時点ではポートフォリオの8%超でしたが、その後一部売却)。
  • 日本株への注目度上昇:地理的な分散という観点では、日本の株式への投資が目立って増加しました。バークシャーは日本の大手商社5社(後述)に対し2019年以降段階的に投資してきましたが、この1年で持ち株比率と評価額が大きく拡大しています。同5社の合計時価総額は2024年末時点で約235億ドル(約3.5兆円)に達し、バークシャーの米国外株式投資として史上最大規模になっています。これは前年末(約186億ドル)からさらに増加した形で、日本株がバークシャー・ポートフォリオに占める存在感が高まったことを意味します。
  • 主要持株上位における日本株の台頭:バークシャーの個別銘柄ランキングでは、依然としてAppleやAmerican Expressなど米国株が上位を占めますが、日本の商社株5社を合わせたグループはコカ・コーラ株に匹敵する規模になりました。例えば、コカ・コーラ株の保有評価額(約249億ドル)に対し、日本商社5社合計の評価額は約235億ドルとほぼ並んでいます。日本株投資は単一銘柄ではなく分散されていますが、テーマとして見た場合バークシャーにとって重要なポジションとなっています。

新規投資および売却動向

  • 過去3か月間の主な新規投資:2024年第4四半期(直近3か月)において、バークシャーは慎重ながらもいくつかの新規投資や買い増しを行いました。代表的なのは米国の酒類メーカー大手**コンステレーション・ブランズ(Constellation Brands)**への新規投資で、約5.6百万株(評価額12億ドル超)を取得しました。また、ドミノ・ピザでは保有株数を2倍以上に増やし、約238万株としています。その他、プール用品流通のPool Corpや衛星ラジオのSirius XM、インターネットインフラのVeriSignなど、一部中小規模銘柄の持ち高も増やしています。新規投資は消費関連(ピザチェーンや酒類)など多岐にわたり、バリュー評価が下がった銘柄への選別的な買いをうかがわせます(※例えばコンステレーション株は2024年に26%下落しており、値ごろ感が出ていました)。
  • 過去3か月間の主な売却:一方でポートフォリオの入れ替え・整理も積極的に実施しています。2024年末の13F報告によれば、シティグループ株の約75%を売却し大幅に縮小、ブラジルのフィンテックであるNu Holdingsも約53%売却しました。加えて、バンク・オブ・アメリカ株も約15%減少しており、大手銀行株への依存を若干低減させています(※同社株は依然バークシャーの上位保有銘柄ですが、一部利益確定が行われた形です)。また、米小売企業のUlta Beautyは全株売却しポートフォリオから姿を消しました。
  • ネットでは「売り越し」傾向:このように個別の新規買いもあるものの、バークシャーは全体として直近数四半期は売り越し基調が続いています。実際、2024年第3四半期まで9四半期連続で「売り」の方が「買い」を上回る状況であり、バフェットは割高感の強い市場環境下で現金比率を高めています。その象徴が2024年のApple株売却で、同年にApple株を6億株超売却(保有株数を3億株まで削減)し約90億ドル規模の現金化を進めました。これによりバークシャーの手元資金(キャッシュ)は過去最高の3,252億ドルに達しています。一年前の2023年末時点でも既に売り越し傾向は始まっていましたが、この1年でその傾向が一段と鮮明になりました(※例えば2024年夏には1四半期で361億ドルの株式売却・15億ドルの株式購入という極端な売り超過となりました)。バフェット自身、「魅力的に見える投資先がなかなか無い」と述べており、慎重姿勢を崩していません。
  • 1年前との比較ポイント:2023年末~2024年初の動きを振り返ると、バークシャーは当時もポートフォリオ入れ替えを進めていました。例えば台湾積体電路製造(TSMC)株を購入後わずか数ヶ月でほぼ全て売却した(一部地政学リスクを理由と示唆)ことが話題となりましたし、USバンコープやバンクオブNYメロンなど一部米銀行株も2022~2023年にかけて売却・圧縮されています。また2023年には住宅建築会社(D.R.ホートン等)への新規投資も行われましたが、これらは比較的小規模でポートフォリオ全体への影響は限定的でした。一方で日本の商社株については2023年を通じて着実に買い増しが行われ、前年時点では保有比率7~8%だったものが年明けには約9%に高まりました。総じて、直近3か月も1年前もバークシャーの基本スタンスは「割高と判断する銘柄を売却して現金を積み増し、割安と見る一部銘柄に選択的に投資する」点で一貫しています。ただし日本株への傾斜という点で、この1年の変化が特に顕著になったと言えます。

バークシャー・ハサウェイのポートフォリオにおける日本株の位置づけ

  • 商社5社への大型投資:バークシャーは日本の主要商社5社(伊藤忠商事、丸紅、三菱商事、三井物産、住友商事)に対し2019年から投資を始め、2020年に各社5%超の保有を公表しました。その後も買い増しを続け、2023年末時点で各社の保有比率は約9%に達していました。さらに**2024年末までに平均9%台後半(各社ほぼ上限の10%近く)**に至っています。下表にバークシャーによる商社株投資の概要をまとめます。

バークシャー・ハサウェイによる日本の商社株投資(5社合計)

項目2023年末時点2024年末時点
投資額(取得原価)約1.6兆円(約106億ドル)約2.1兆円(約138億ドル)
時価評価額約2.9兆円(約186億ドル)約3.5兆円(約235億ドル)
保有比率(平均)約7~8%約9%台(今後10%超へ)
年間予想受取配当金約8.12億ドル(2025年)
  • ポートフォリオ内の位置づけ:上記の通り、商社株5社の合計時価は約235億ドルに達し、バークシャー全株式ポートフォリオ(評価額ベース約2,900億ドル強)に占める割合は約8%強に上ります。この規模は米国外投資としてはバークシャー史上最大であり、個別銘柄と比較してもApple、American Express、Bank of America、Coca-Colaに次ぐ第5位相当のポジションとなります。つまり、日本株投資はバークシャーにとって単なるサイドストーリーではなく、主要戦略の一部となっています。バークシャーは「事業内容を理解できない企業には投資しない」方針で知られますが、日本の商社については「バークシャーと非常に似ている」(事業の多角性やオペレーション面で)と評しており、自社の長期戦略に合致する投資先と位置づけています。
  • 長期志向とシナジー期待:バフェットは2025年の年次書簡で、日本の商社株投資について「極めて長期」にわたって保有する意向を示し、後継者となるグレッグ・アベル氏も含め数十年先まで継続保有する考えを明らかにしました。さらに「これら5社と生産的に協働する他の方法も見つけていくだろう」と述べており、単なる株式保有に留まらない提携や協業の可能性にも言及しています。この発言は、バークシャーが商社各社の経営陣・戦略を高く評価し、パートナーシップを築いていることを示唆します。実際、商社側もバークシャーとの関係強化に前向きで、5社は従来10%未満とされていた外国株主比率の上限を緩和し、バークシャーが10%超まで持ち株比率を高めることを容認しました。このような対応は異例であり、バークシャーが安定株主・協調的パートナーとして認識されている証と言えます。
  • 配当収入と資本効率:バークシャーは商社株投資からの配当収入にも注目しており、2025年には5社合計で約8億1200万ドル(約1100億円)の配当を受け取る見通しです。投資額138億ドルに対する配当利回りは約5.9%と計算され、為替ヘッジ(円建て社債発行による実質的な為替中立戦略)も活用することで安定したインカムゲインを得ています。バフェットは「5社の資本配分や経営陣、株主に対する姿勢が気に入っている」と述べており、株主還元にも積極的な日本企業への投資は、同社の余剰資金運用先として合理的との判断がうかがえます。

提携や発言による市場の反応

  • バフェット発言による株価上昇:ウォーレン・バフェットの日本株に関する発言や行動は、日本市場で大きな話題となり、株価にも即座に反映される傾向があります。典型的な例が2023年4月のバフェット訪日です。バフェット氏は東京で日経新聞などの取材に対し「日本の商社株への投資をさらに増やす計画がある」と語りました。このニュースを受け、日経平均株価は当日1%以上上昇、商社5社の株価も2~4%超の急伸を遂げました。具体的には三菱商事と三井物産が約+2%、伊藤忠+3%、住友商事+3.2%、丸紅に至っては+4.6%の上昇となりました。バフェットの発言が、日本市場全体や個別銘柄の投資家心理に与える影響の大きさを示すエピソードです。
  • 追加投資発表と市場の好感2023年6月には、バークシャーが商社株の追加購入を発表し、平均保有比率が8.5%超に達したことを明らかにしました。この「買い増し」は市場にポジティブに受け止められ、発表直後に日経平均先物が下落幅を縮小する動きが見られました。また商社株はいずれも年初来30%以上の上昇を演じており(丸紅は+62%と突出)、「バフェット効果」が日本株ラリーの追い風になっていると報じられました。市場ストラテジストのコメントとしても「日本株への追い風がさらに強まった」との声が聞かれ、バフェットの関与が日本市場に信頼感を与えたことが示唆されています。
  • 企業側の反応と協調姿勢:バフェットによる投資に対し、投資先企業も歓迎ムードを示しています。伊藤忠商事の岡藤会長(当時)は2023年4月、バフェットの訪日に際し「バフェット氏は日本市場にもっと投資すべき価値があると確信している」とコメントしました。このような発言からもうかがえるように、日本の経営陣はバークシャーを単なる機関投資家ではなく、長期的視野に立ったパートナーとして受け入れている雰囲気があります。実際、前述のように商社5社が持株比率制限の緩和に応じた背景には、「安定株主バフェット」への期待があると言えます。さらにバークシャー側も「共同で生産的に仕事をする方法を見つけたい」と表明しており、将来的な事業提携や協業への思惑が市場の想像力を刺激しています。
  • 長期コミットメントへの安心感:バフェットは折に触れて日本へのコミットメントを強調しており、これも市場の安心材料となっています。2025年2月の年次書簡では「我々(バフェットと後継のアベル氏)は非常に長期志向であり、これら日本株ポジションは今後何十年も保有されるだろう」と述べました。この発言は、日本の投資家に「バークシャーは短期売買でなく長期的に日本企業と付き合う」という安心感を与えました。また、「5社と生産的に協働する」とのメッセージは、単なる財務投資を超えた関係構築を予感させ、商社株の先行きにポジティブな影響を及ぼしています。

以上のように、ウォーレン・バフェットとバークシャー・ハサウェイは直近3か月間も堅実かつ戦略的な投資行動を継続しており、その動きは1年前と比べて日本市場への傾斜が一段と強まった点が特徴的です。主要銘柄の構成比に変化が見られつつも、長期的価値に基づく投資哲学自体は不変であり、とりわけ日本の商社株への長期コミットメントは同社ポートフォリオの新たな柱となりつつあります。バフェットの発言や提携姿勢は日本企業・市場にも良循環をもたらし、投資家の信頼感醸成につながっていると言えるでしょう。

ABOUT ME
いけだい
現在会社員として働きながら、40歳を超えて投資を通じて本格的に資産形成を進めています。このブログでは、**「これから投資を始める人」や「今後の資産形成に漠然と不安を感じている人」**に向けて、実体験を交えた情報を発信しています。
40代からの資産形成はまだ間に合う!

無料メルマガ登録で投資初心者向けのお役立ち情報&私の実際の運用実績を公開中。
今すぐ証券口座を無料開設して、投資をスタートしませんか?

【無料メルマガに登録】【証券口座を無料開設】